「歌の景色」カテゴリーの記事

阿久悠のエッセーで写真集「華」

2008-09-03 水曜日

写真集「華(はな)-君の唇に色あせぬ言葉を-」(産経新聞出版)ファッションプロデューサー、大出一博氏の写真集に阿久悠のエッセー。「阿久氏が日常見せなかった、「本心」がつづられている」そうです。

生前、阿久悠はこう言っていたとか。

「大出君の写真は自然でいいね。優しさを感じるよ」

本著の一部を引用すると・・

〈文章書きだから言うのではないが、言葉の美しい女性が何よりも魅惑的に思えるようになった。選ぶ言葉や、唇のさばきや、間(ま)のつくり方や、キンキンしたりザラザラしたりしない自然の響きに、恋をする。(中略)そんな奇跡の瞬間に、時々遭遇する。時々でも逢えるのだから、まだまだ夢を捨てることはない〉

大作詞家、様々な女性を歌にした阿久悠がもしかしたら、「花」から歌の女性像を汲み取っていたのかもしれない。華やかな花、哀しそうな花、毒を持つ花、地味な薬草の花などなど、あれだけいろいろな女性像を描けたその源泉が「花」と語っていたなんて、やっぱり凄いと思いました。

こんな風景に思いだされる歌

2008-04-24 木曜日

kuratake.jpg

 先日、高尾から一時間ほどの中央線沿線にある、山梨県の倉岳山というところに登りました。富士山の鑑賞ポイントとしても知られる山で、わずか990mほどの山でしたが、なかなかどうして、登山道の風情もあり、渓谷沿いに栃の巨木ありで、登り甲斐がありました。
 写真は、その頂上の、富士山の反対側から望める風景。桂川を中心にした村落と中央高速や甲州街道の山間の風景が、ご覧のようにまるで書き割りのよう、実にしっとりとして良い眺めでした。ここに立った瞬間にぴったり、三木露風の詩が浮かんできました。

 ふるさとの 小野の木立に 笛の音の うるむ月夜や

 おとめごは あつき心に そをば聞き 涙流しぬ
 
 ととせ経ぬ おなじ心に きみ泣くや 母となりても
 
ごぞんじ「廃園」という詩集にある「ふるさとの」で、これに短い曲がつけられ、歌となっています。その歌がまた実に、とても、しっとりして良い歌なのです。その歌は、高校時代に母親から教えてもらいました。詩にある「小野」とは、三木の出身地である兵庫県の山里のようですが、こんな風景を見ると、まるで自分がこの詩の作者にでもなった気分で、笛を聴かせたくもなろうというもの。
ある意味では田舎のごくありふれた風景なんでしょうが、何か浮かんでくる歌なぞあるでしょうか?